作品について
音楽総合コース4年:武石 智仁,長谷川 伊吹
この作品は、2021年1月29日に愛知県立芸術劇場コンサートホールで行なった本学オーケストラのコンサートのライブ配信の音源から、3D立体音響のフォーマットであるDolby Atmosと通常ステレオで聴取可能な音源を制作したものです。3D立体音響では通常ステレオと比べ、「臨場感」をより感じられるようになりました。例えば、ホールの正面の客席で演奏を聴いた際、1st Vn.は左前から聴こえると思います。しかし、私は後ろの壁に反射した1st Vn.が、その対角線である右後ろからも聴こえた経験があります。これがホールならではの臨場感なのだと思い、この感覚を大切に制作しました。特に第1楽章冒頭のピアノ独奏では、模したとされるロシア正教会の鐘が遠くまで響き渡るような臨場感を体験することが出来ます。あたかもホールで聴いているような響きを演出しつつも、ラフマニノフが書いたアレンジに触れられるように、各楽器の音の粒が届くように制作しました。また、3D立体音響では通常ステレオと比べ、各楽器の配置を分散することが可能になり、各楽器の動きがより鮮明に見えるようになりました。特に第2楽章の木管楽器のフレーズの移り変わりや、第3楽章フィナーレにあるピアノとオーケストラによる掛け合いにおける各楽器間のやりとりには注目です。ぜひお聴きください。